カネト食堂

グルメ 今治

明治から続く食堂


お店の外観

 カネト食堂の創業は1894年頃。戦災で焼けてしまったので、詳しい資料は残っていませんが、1909年の地図にこのお店が載っていることや、当時の店主の年齢などから推定されました。現在の店舗は終戦後の1950年頃に建てたもので、メニューも当時のままです。

 いかにも老舗らしい頑固さを感じますが、実際はそんなことはありません。「昔のままの方法でやっているだけ」「最近、コーヒーはないのかとお客に聞かれることが多いので、メニューに入れました」「カレーうどんがあるのなら、カレー中華そばがあってもええやろ、と言われて作ってみました」・・・淡々と語る店主からは、昔ながらの味を守りつつも、お客の要望にはできるだけ応えようとしている感じが伝わってきます。そんなこともあり、現在のメニュー数は50以上。でも正確なメニュー数は店主でも分からないとのことでした。

 昔からのやり方を変えないということは、頑固ではなく当たり前のこととして、その上でお客の要望に可能な限り対応するというスタンスが、この地で100年以上続けてこられた理由でしょう。


広小路側の入り口

店内の様子

変わらないこだわり


新メニューは店内に掲示

 「カネト食堂」が正しいのか、「かねと食堂」が正しいのか、それは店主にもわからないとのこと。「マークが『カネ』と『ト』の組み合わせだから、カタカナかなあ・・・」「ウチはレトロを売り物にはしていないけど、お客がレトロっていうものだから、そんなものかな・・・」「この時計、子供のころからあるけど、ちょっと傾けておかないと止まるんだよな」・・・そんな店主ですが、昔ながらの作り方と味を頑なに守ることには徹底的にこだわり続けています。だから今でも、うどんは手打ちの自家製麺だし、化学調味料は一切使わない。どんな新しいメニューであっても昔懐かしい味がするのです。


テーブルセットは全て陶器製

昔懐かしいメニュー看板

この角度でしか動かない時計

店主

おすすめメニュー


鍋焼きうどん

うどん 390円

 かつて商人の町として栄えた今治。立派な店構えと当時では珍しい外食。おそらく創業当時は、ハレの日の非日常のひとときや、商人のビジネスの場として利用されていたのでしょう。うどんは創業当時から今まで続く定番中の定番。そのレシピも昔のままです。

 ダシはウルメイワシと昆布、味付けは醤油とザラメ。化学調味料も塩も使っていないので、色も味も濃いのが特徴です。うどんは柔らかい手打ち麺。讃岐うどんが有名になって、うどんと言えばコシの強い太麺が定番ですが、カネト食堂では昔ながらの柔らかい麺にこだわっています。

カツライス 780円

 洋食メニューは戦後から始めたそうですが、中でも人気なのがカツライス。ご飯にとんかつを乗せ、デミグラスソースをかけただけのシンプルなもの。飾りのようなものは一切ありません。まさに古き良き時代の「よそいき」の洋食です。 


うどん

カツライス

オムライス 750円

 超シンプルなケチャップオムライス。使う卵は1個だけ。ごく薄く伸ばしてチキンライスを包んでいます。卵を焼くのも、チキンライスを炒めるのも、ラードを使っていて、独特の風味がします。オムライスをメニューに加えたのは先代の時代で、レシピも当時のままのレシピそのままだそうです。

鍋焼きうどん 780円

 鍋焼きうどんのスープは基本はうどんのダシと同じですが、煮込むために調合を変えているそう。驚くのは、これだけ煮込んでいるのに、うどんのコシが保たれていること。手打ちでしっかりと作られている証拠です。寒い冬にイチオシのメニューです。


オムライス

鍋焼きうどん

厳しさをエネルギーに


室屋町側の入り口

 瀬戸内海に橋がなかった時代、今治港に近いカネト食堂は、島から来る人々で連日大賑わいでした。しかし今治市の中心市街地がシャッター街になり、しまなみ海道が開通して島から来る人も激減。お客の数はピーク時の10分の1まで減ったそうです。

 しかし子供のころから何十年も通ってくれる客がいる限り、この店を維持していくのが店主の責務。この店で働き始めて30年の4代目の店主は、厳しい時代だからこそ前向きに取り組む覚悟を決めています。

 「橋ができてしばらくの間は、何も良いことはなかった。しかし今は世界中から人が集まってくるようになった。かつては日本中のどこにでもあった普通の食堂が、今では貴重な存在になってきている。普通の日本の食堂そのものを日本の文化として、世界の人々に知らせたい」・・・店主はそんな思いを胸に、今日も早朝からうどんを打ち続けています。


ずっと同じ店内レイアウト

店内の様子


施設名 カネト食堂
カテゴリ グルメ
エリア 今治
住所 愛媛県今治市室屋町1-2-16
電話 0898-22-1197
料金 うどん 390円
カツライス 780円
オムライス 750円
鍋焼きうどん 780円
その他メニュー多数
駐車場 無料・3台
営業時間 8:00-19:00
水曜休
交通 JR今治駅から約1km
徒歩約10分
WEB -
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インタビュー
店主 桑原孝さん
学芸員 藤本誉博さん

 当店は、昔ながらの「日本の食堂」という文化を頑なに守ってきました。今治にお越しの際は足を運んでいただき、古き良き日本に思いを馳せてみてください。

Snapshot

定番の看板

比較的新しい天井扇風機

1909年当時の地図

昭和の雰囲気

おかずもあります

取材日:2014年12月1日 | Top > どこに行く > 愛媛側陸地部 > カネト食堂


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